
第一章:幼少期 ― 孤独と剣の芽生え
1. 土佐の片隅に生まれて
2. 剣に惹かれた日
3. 初めての剣との出会い
プロローグ
闇に消えた名がある。
京の路地裏で、そっと囁かれるその名は、
恐れと共に、時代の奥へ沈んでいった。
―人斬り以蔵。
血に染まった剣の、その奥に、誰かの涙があったのなら。
土佐に生まれ、
剣に生き、
志に殉じ、
裏切りに耐え、
信じた者にさえ捨てられ、
それでも己の手を汚し続けた、ただ一人の男。
岡田以蔵。
志士と呼ばれた者たちの中で、最も美しく、
最も哀しい魂の記録を、いま、語ろう。
忘れられた英雄の、ほんとうの姿を。
1. 土佐の片隅に生まれて
2. 剣に惹かれた日
3. 初めての剣との出会い
1. 土佐の道場時代
2. 剣の意味を問う師との対話
3. 見世物剣士としての苦悩と誇り
1. 武市半平太との再会と忠義
2. 志士たちとの日々
3. 初の密命と暗殺の夜
1. 闇の中の剣
2. 天誅とは正義か
3. 心を削るたびに名が残る
4. 武市の命令か、自分の意思か
1. 龍馬との再会と"非武の道"
2. 勝海舟との対話 ― 時代を読む男
3. 消せぬ血と、消えぬ名
1. 裏切りの始まり
2. 捕縛と拷問の日々
3. 剣を手放すという悟り
4. 静かな夜と、決意の前夜
1. 牢で迎える夜明け前
2. 「君か為」――その句に込めた想い
3. 最期の道を歩く
4. 遺された者たち