June 2011
新選組(松浦 玲)
http://booklog.jp/users/xskyxdreamx/archives/4000025317
確かに読んでよかったと思います。
また視野がちょっと広がった思いです。
シンプルなタイトルながら、割りと歴史学分野から専門的に説かれた新選組本。
初心者向けの通史本ではなく、もっと突っ込んだ内容を書いていたり、史料批判をしてあったりと、所謂新選組研究の御三家の方の本とはテイストの違う書き方をされています。
一応、浪士組結成から箱館戦争までを順序立てて書いてはありますが、どちらかというと通史の勉強用ではないので、詳述してある部分と、さらっと流してある部分の差が激しいです。
え、そこは詳しく言わないのかと思う箇所が何箇所がありましたので。
でも全体的には、普通の通史本ではツッコミを入れられていないようなところまで丁寧に書かれてあった印象です。
新選組の思想集団についての考察なども興味深かったです。
また近藤さんが記した長い書簡を大切に扱ってくれているところも嬉しいところ。
土方さんや沖田の書簡に比べて、作者さまが文中で指摘している通り、近藤さんの書簡は冷遇されることが多々ありますので。
人気度は確かに土方さんや沖田には劣るかもしれませんが、郷里へ度々報告を入れている近藤さんの書簡があまり深く研究されていない現状は嘆かわしいものです。
もっと近藤さんの研究が進んでいくことを切に願っての読了となりました。
(2011/06/28読了)
以前読んだ本というのは、このブログでも紹介しております「歴史のなかの新選組(宮地 正人)」です。
こちらの本で引用されていた説などは、この「新選組」という本が元になっていることが多々あるようです。
ある程度、新選組の通史が分かっていることが前提かなとは思いますが、普通の通史本では見られないツッコミが多々見られます。
有名どころの説をばさっと切ってあったのが、かなり気持ちよかったです。
特に興味深かったのが「近藤勇が天狗になった」という点。
普通の本だと、天狗になった=慣用句と同じ意味(いい気になって自慢する。得意になる。うぬぼれる)としてありますが、この本では「水戸天狗党、つまり芹沢鴨と同類になった」という意味で捉えてあって面白かったです。
この方が、個人的にはすっきりと収まりがいいのですが...
それにしても、近藤さんの研究においての冷遇っぷりが本当に不憫です。
あんなに手紙残っているのに、何故...
[ 2011年06月28日11時23分45秒 ]
幕末の世直し万人の戦争状態(須田 努)
一口に「一揆」と言っても、時代ごと、そして地域ごとにその形式、本の言葉を借りるなら「作法」が異なっているのが興味深かったです。
その移り変わりを丁寧に解説しているので、分かりやすかったです。
最初は武器の使用や暴力を封じて、お行儀のいい作法で行われていた一揆が、やがて甲州騒動を切っ掛けに、それぞれの村が武力をもって一揆を封じていく...幕末時期の農民たちの武装の理由がよく分かった気がします。
そして、幕府や藩の信用の失墜も...
特に多摩地方のこと、武州世直し騒動を記した書物の異様さには驚かされました。
相手を吟味することなく銃をぶっ放していたなんて...それだけ恐れていたのでしょうね、自身の村を荒らされることを。
幕末、ペリー来航から始まった混乱期、農村ではこのようなことが起こっていたという件、大変興味深かったです。
(2011/06/20読了)
まさか多摩地方の話が出てくるとは思わず、嬉しい悲鳴でした。
多摩で天然理心流を始め剣術が流行っていた理由、それが過去の甲州での騒動に起因しているところもあることが分かって、勉強になりました。
それに、一揆の形式も時代と地域でどんどん変わっていったところも興味深かったです。
[ 2011年06月20日11時28分28秒 ]
幕末民衆の情報世界―風説留が語るもの(落合 延孝)
タイトルを見た時は、てっきり様々な「風説留」を紹介するだけの本かと思っていたら、森村新蔵が記した「享和以来新聞記」に特化していたので、自分としては想像していたのと読みたかった傾向が違いましたが、それでも充分に興味深い内容でした。
地方役人ゆえに情報が集まりやすかったという点、また日本縦断とも言えるような旅もしてきた森村ならではの情報収集の手段やまとめ方、また幕末当時の文化のあり方なども見えてきて面白かったです。
特に興味を惹かれたのは、幕末当時の旅について。
一応日本国内ではあるが、藩を跨って旅をする場合は、通行手形が必要な上に、換金レートも諸国で違うという...国内なのに外国旅行をするかのように手間がかかっていたことに驚きました。
お金がそれぞれの場所で価値が違うというのは、これまで着眼したことのなかった部分だったので、個人的には驚きっぱなしでした。
関所一つ通るのにも、換金が上手くできなくて難儀したこともあったようで。
当時はやはり「統一国家」とは言えない現状だったんですね。
こういった風説留は、史料としては「二次史料」として扱われることが多いですが、ここからでないと見えない視点もある訳で、当時の情報ネットワークを解明するには貴重な史料なのでしょう。
機会があれば、個人に特化したものではなく、他の風説留を多数紹介した本も読んでみたいと思います。
(2011/06/16読了)
上記で記し忘れましたが、村内で犯罪が起きた場合、神に祈祷して犯人を炙り出したり、入れ札によって一番高札だった者を問答無用で牢に入れたりといったことが、幕末でも普通に行われていたという件にも、相当驚かされました。
捜査方法も確立されていなかった頃、シャーマニズムに頼る者、入れ札制で無実の罪を被った者も少なくなかったのかもしれませんね。
わずか150年程前の村では、そういったことが行われていたという現実...ちょっと怖くもなった部分もありました。
[ 2011年06月16日10時40分00秒 ]
土方さんの辞世に新説とは、これ如何に。
他のブログなどでも話題に取り上げられていますので、もう既にご存知の方もいらっしゃると思いますが、土方さん最愛を謳っている自分としてはスルーできよう筈もない話題でしたので、敢えて書かせていただきます。
前置きが長いですね、承知しております。
閑話休題。
さて、本日(2011年6月15日)、Twitter経由で、こんな話題が自分の所まで回ってきました。
曰く。
土 方 歳 三 辞 世 に 新 説 とのこと。
何ですと!?
早速確認してみますと、読売新聞のHPにその記事が上がっておりました。
実際の史料の写真も掲載されております。
写真が若干綺麗に写りすぎているのが気になりますが。
「土方歳三辞世に新説「鉾とりて月見るごとに...」」 (YOMIURI ONLINE) ※敬称略
同じ内容ではありますが、Yahoo!ニュースの方にも掲載されております。
「土方歳三辞世に新説「鉾とりて月見るごとに...」」 (Yahoo!ニュース) ※敬称略
これまたご存知の方が多いとは思いますが、これまで土方さんの辞世とされてきたものは、
たとい身は蝦夷の島根に朽ちるとも魂は東の君や守らむ (「慎斎私言」 明治26年 小島守政、「両雄士伝補遺伝」 明治30年 橋本清淵)
もしくは、
よしや身は蝦夷が島辺に朽つぬとも魂は東の君や守らむ (「両雄逸事」 明治7年 小島守政)
となっております。
自分としては出典の早い後者派なのですが、まあそれはさておき。
今回、土方さんの辞世の新説として発表されたのは、以下のような句になります。
鉾(ほこ)とりて月見るごとにおもふ哉(かな)あすはかばねの上に照(てる)かと
(鉾を手に取って月を見るたびに思う。あすはしかばねの上に照るのかと)
新説を発表されたのは、霊山歴史館学芸課長であり、新選組研究者の中でも屈指の有名どころである木村幸比古氏です。
何でも島田魁がまとめたとされる和歌集の冒頭に掲げられた「土方歳三」の名前入りの句が、土方さんの辞世ではないかということですが...果たして真相は?
詳細については、上記のリンク先の記事で確認していただくとして。
新暦での土方さんの命日(6月20日)を直前にして、土方さん関連で新説が提唱されるとは...そのタイミングのよさ、そして新説の瞬間に立ち会えたことは、土方ファンとしてとても嬉しい限り。
これまでの辞世に比べて、土方さんが「豊玉発句集」の中でも度々使用している「月」が出てくるあたり、土方さんらしくて個人的には新説の方が好きですね。
ここで登場する月は、彼が愛していた(と自分は勝手に信じていますが)春の月なのでしょうか。
ただ、問題点も。
ニュース記事だけでは説明不足であり、この句を土方さんの辞世とした根拠が薄いという点。
また「土方歳三資料館」さま(要は土方さんの本家筋)の方に特に連絡のないまま発表されたという点。
確認は取らなかったというのが、気になると言えば気になる。
「新説★辞世の句」 (土方歳三資料館日記) ※敬称略
つまりは、このまま「新説=史実」として鵜呑みはできない状況ではあるということ。
でも、少なくとも、土方さんの研究に関しての史料が提示されたのは間違いないと思います。
いずれ霊山歴史館で公開される日も来るかもしれませんね。
続報、及びこれからの研究に期待が高まるところです。
取り敢えず、Twitterでこの情報が回ってきた時には、自分も含めて土方さんファンの間はお祭り騒ぎでございました。
命日前に本当にいいニュースを聞けて、幸せ者でございます。
早く実物をこの目で見たい自分であります。
【関連リンク】 (2011/06/15現在) ※敬称略
YOMIURI ONLINE:http://www.yomiuri.co.jp/
Yahoo!ニュース:http://headlines.yahoo.co.jp/hl
土方歳三資料館:http://hijikata-toshizo.jp/
土方歳三資料館日記:http://ameblo.jp/hogyoku/
幕末歴史ミュージアム 霊山歴史館:http://www.ryozen-museum.or.jp/
[ 2011年06月15日20時13分35秒 ]
歴史のなかの新選組(宮地 正人)
章が細かく分かれていて、テンポがいいからでしょうね。
勿論、書かれている内容は非常に考えさせられるものばかりでした。
時代小説が先行していたせいか、新選組の通史本や有名本でも史実と虚構が入り乱れてしまっている状態に警鐘を鳴らす1冊。
西村兼文の「新撰組始末記」の史料批判を細かくしてあるところが興味深い。
やはり歴史の「史実」を探るには、史料批判を丁寧にすることが大切ですので。
新選組研究では、まだこの辺りが甘く、読む本読む本で話が違うことも多々ありますので、他の有名本まで例に挙げて史料批判をしてあったところは好感が持てました。
通史本ではありませんので、事前にある程度新選組の歴史に通じてあることが前提で読む本にはなりますが、歴史学から見て新選組をどう読んでいくかを教えてくれるいい本だったと思います。
素人ながら本格的に勉強してみようと思う人は、一度読んでみてはいかがでしょうか。
(2011/06/10読了)
上記で記し忘れましたが、近藤さんの記述に関しても詳しいです。
確かに、土方さんや沖田の書簡集というのはあるのですが、近藤さんのそれは見たことがない気がします。
お偉方とのやり取りも多かった筈の近藤さんの書簡がまだまとめられていないのは、確かに惜しいところですね。
その辺りからの研究が進んでいくことを切に願います。
また、史料批判を丁寧に行っているところもよかったです。
有名本だと、この辺りが曖昧であることが多いので。
大和屋焼き討ちの件も、芹沢鴨の関与はなかったと、他の史料を元に論じてあって興味深かったです。
別説で「大和屋の件に芹沢は関わっていなかった」と紹介されている本は読んだことありますが、その根拠までは記されていなかったので、今回の読書でようやく腑に落ちました。
有名本と言えども、それをただ鵜呑みにすることなく、やはりちゃんとした根拠を調べるべきですよね。
自分でもそういった史料を元に史料批判ができるようになればいいのですが...日々精進です。
[ 2011年06月10日12時23分56秒 ]
幕末の大風―慶応四年幕府海軍帆船美賀保丸一件と白虎隊(山形 紘)
戊辰戦争が起きた慶応四年の旧暦八月から九月にかけての天候について、様々な史料を用いて検討しております。
まず目新しいと思ったのは、美賀保丸についてまとめてある点。
旧幕府軍艦隊が脱走した際に、早くも脱落してしまった不運な船であるがゆえに、これまで目立って取り上げている本はなかったように思います。
他の戊辰戦争などの本だと、出てきても文中でさらっと座礁・沈没したと紹介される程度ですので。
この船についての細かい歴史などにも触れつつ、沈没してしまうまでを丁寧に追いかけております。
また、この時、美賀保丸を襲った大風が秋雨前線を刺激し、東北地方、即ち会津の戦闘にも何かしら影響を及ぼしているのではないかと仮定して、関東から会津にかけての当時の天候についても細かく調べてあるところは興味深かったです。
白虎隊自刃の悲劇は、たくさん絵にされていますが、晴天だったり曇天だったり、天候に関しては様々。
でも実際は大風によって刺激された秋雨前線の雨の中でのことだということを、今更ながらに思い知らされました。
美賀保丸沈没と白虎隊の悲劇は、ほぼ同時期だったんですね。
天候にまで気を配って書かれてある戊辰戦争系の本はそうないと思いますので、マニアックな内容ではありましたが、本当に興味深かったです。
ただ随所でWikipediaからの引用があり、それが若干気になりました。
大体が画像だったり、史料の補完的な内容では使われていて、あくまで判断材料はちゃんとした史料だったのですが...ネット引用も多く...
今時の書き方かなとは思いました。
Wikipediaって、勝手に載せていいものなのかな。
許可って貰っているのだろうか...地味に気になります。
(2011/06/03読了)
今まであまり取り上げられてこなかった点に言及してあるのは興味深いけれど、やはりWEB出典が気になった。
Wikipedia参照って、個人的には正直歓迎できない。
確かにペーパーレスの時代になりつつあるので、こういった史料のデータ化というのは事実実用化もされ始めていて、それを使うことに異を唱える気はないです。
ないけれども、Wikipediaの場合は「誰でも自由に編集可能」を謳われている以上、その信憑性は疑わざるをえない訳で...参考程度に使うのはいいけれど、引用しちゃうのはいかがなものかと思います、正直。
[ 2011年06月03日11時19分20秒 ]
幕末日本と対外戦争の危機―下関戦争の舞台裏(保谷 徹)
「下関戦争の舞台裏」とサブタイトルがついているので、がっつり下関戦争のことを書いているのかと思いきや、「舞台裏」ですから、寧ろ戦争に至るまでの話が大半を占めていました。
戦争についての描写は意外にも然程紙面を割かれていません。
日本国内や日本人の視点で幕末を見たものではなく、諸外国側からの視点で、当時の諸外国の世相や政治についても触れながら、幕末について書かれてあるのが興味深かったです。
あまり外国側から書いてある幕末本を読まないもので余計に。
中でも興味深かったのが、下関戦争に関してイギリス本国としては否定的で慎重、結果オーライだったからこそどうにかなったものの、戦争を主導した人物は本来ならば、国是を無視した行き過ぎた行動を取ったものとして裁かれる立場であったということ。
また、仮に戦争になった場合、相手を長州などの藩相手、一部の藩と幕府、日本そのものの3パターンに分けて、細かな戦争シミュレートがなされていたこと。
この2点には非常に驚かされました。
やはり外国側から見て分かることもあるのですね。
自分の知らなかった話が多数出てきて面白かったです。
下関戦争そのものの描写が少なくて、それにはちょっと不満がないという訳ではありませんが、戦争に至るまでの舞台裏をしっかり追いかけられる本だと思います。
たまには相手側からの視点に立って読むのもいいものですね。
(2011/06/02読了)
日本国内のことではなく、あくまで外国側から書かれてある点が、いつもとは違った視点から幕末を読むことができて興味深かったです。
特にイギリスの国是が下関戦争に肯定的ではなく、寧ろ止めようとして命令も出したけど間に合わなかった結果だったのも驚きました。
下関戦争一つを取っても、多面的に見るというのは大切なのですね。
勉強になりました。
[ 2011年06月02日10時19分25秒 ]






いこ@新選組副長最愛